Thursday, October 19, 2000

農場にて

いました,いましたよ. 牧羊犬たちが.
想像していた通りのどんよりした気候と,寒々しい風景.
イギリスはイルクリィ・ムーア(荒れ野)のはずれの農場で,ごく自然に暮らしていました.

スカイ,グレン,モシィ,ロブ,ブレックン,キミィ,ホープ,キム,グリン,メグ,ジップ,ピップ,ジェイ....
とても全部は覚えきれません. でも,一頭一頭まぎれもなくボーダーコリー.
全体的に,思ってたより小柄. りんと大差無さそう.
トライアルチャンピオンの立派な血筋の子も,発育不良でみすぼらしい子も,
美人でキュートな子も,レスキューされたのに人が恐くてブルブル震えてた子も,
若々しい子も,年取って半分引退した子も,みんなみんな,立派に働いていました.

暖炉で温もったリビングに戻ると,犬たちもなだれ込んできて,思い思いの場所ではべります.
人懐っこい子はぐりぐり身体を押しつけてきて,そうでない子は離れて座ります.
みんな,お母さん(バーバラさん)にとても従順です.
でも,卑屈な感じや,びくついた様子は,これっぽっちもありません.
突然やって来た変な東洋人たちを,さりげなく,穏やかに迎えてくれました.

バーバラさんは言いました.
  「ただ仕事するだけの子や,人間に従うだけの子は,うちにはいないのよ.
   みんな自分自身の人生を楽しんでるし,なにより私の大切な友だちなんです.
   それだけはわかって欲しいの.」

後からやってきた頑固そうなおじいさんは,バーバラさんがいなくなるのを見計らって言いました.
  「どいつもこいつも,犬のことばっかり! まーったく!!」

羊を追っているときは,彼らが一生懸命頭を使っているのがわかります.
興奮しているというよりは,神経を一点に集中している感じ.
小さく「アウェイ」と囁くだけで,農場の端から端まで突っ走ります.
おなじみのクラウチング姿勢と,視線による羊のコントロール.
少しでも動きがわからなくなると,チラチラッとバーバラさんの顔色を伺います.
よく注意していると,ほんの少しですが,彼らのボディランゲージがわかったような気がしました.

遊びに行く場所も無い小さな村なので,夕食はホテルでちょっぴり贅沢しました.
たった2日間でしたが,思いきって訪ねて良かったと,しみじみ思いました.ホント.

Oct 19, 2000