Tuesday, August 12, 2003

期待する犬

「期待する犬は暑苦しい」 と諺にも言いますが (ウソ)...
およそ計画というものを立てず,行き当たりばったりに行動するりん家でも,平日の生活パタンはわりと一定してます.だから家にいるとき,2頭の犬たちは次に私たちが何をするかをかなり正確に読んでいます.

で,週末に向けて遊びに出かけることが多いせいか,金曜の夜には何となく犬たちのテンションが上がっています (なんで曜日がわかるのか ???).
いつもの場所で寛いでるようでも,我々を追う視線にはいつもと違う気合がこもっています. こうなると,私たちも軽率な行動を慎まざるを得ません.

まず, 「よしっ」 という掛け声や,立ち上がるときの 「よいしょ」 がタブーになります.
やつらには,それが 「さあ,行こう!」 と聞こえてしまうようです.
うっかり口にしてしまうと,しばらく,鼻息を荒くした2頭のギャロップを見学させられるはめになります. まったくもって不本意なことです...

できれば無視したいのですが,こういうとき白黒という色は目障りでいけません.
うちの場合,これに白い猫が加わることがあって,そうなるともう最悪. 何が悲しゅうて,狭っ苦しい部屋の中でダレたハーディングを見物しないといけないのか...

これに対抗するには,ことさら 「どこにも行かない」 という気だるい雰囲気を演出して じっとしてるのが一番なようです.
そのうち,犬たちもあきらめてその辺にはべります.

このとき,なぜかやつらはこちらに背を向けます.
この背中がいかにも "残念ですなぁ" と物語っているようで,それはそれで小癪なのです. まぁそうやって我慢してくれてるんでしょうが,

それに,これでゆっくり寛げるかというとそうでもありません.
顔はあらぬ方を見ているようで,耳だけはビシッとこちらに向いてるからです.
ちょってでも声を出したり身じろぎしたりすると,次の瞬間には2匹の射るような視線が...

あー,やっぱ暑苦しい!

Monday, May 19, 2003

かわいいおばはん

誰が何と言おうと,近頃,りん姉はかわいい...

思えばりん姉,さんが来てからというもの,ちょいと調子が狂っていたようだ.
年がら年中ワサワサしてる上に,決して逆らいはしないけれど自分のペースを変えないさんに,どこかイライラしていたのかもしれない.
もともと要求は多い方だったと思うが,
それに加えて,喰えないと言おうか素直じゃないと言おうか,
とりたてて叱るほどではないけれど,こっちが鼻白んで "ヤだな" と思うポイントを,
痒いところに手が届くように押えてくるような犬になっていた.

(そー言われても何のことかわかりませんね.(笑) 
 まぁ例えば,言葉がわかってるのに聞こえないフリするとか,
 こちらが急いでるときにわざとグズったりとか,,,
 あ,そうそう,この間なんか,
 朝のトイレに連れ出すのを忘れた飼い主に向かって,
 真正面から目を合わせながらカーペットにオシッコするという,
 信じられないイヤガラセまでしたんだゾ,あーた!)

大抵は反則スレスレの巧妙な行為で,
こちらの怒りの持っていき場も無く,
牝犬も5歳も過ぎればオバハン化するということかと,
半分あきらめ,半分納得もしていたのだが,
最近,その彼女の態度が微妙に変わってきているのである.

どこか吹っ切れたと言おうか,人生を前向きに考えるようになったと言おうか,
それとも,何かをあきらめたと言うべきか,
さんの行動に目くじらを立てることが無くなり,
他の犬に対して唸るようなこともグンと減った.
食器を鳴らして満たされない気分を表明するのは相変わらずだが,その頻度もずっと減ってきている.

そして一番顕著なのが遊ぶとき.
これがもうやたら楽しそうなのである.
レトリーブ遊びのときなんか, 「おほほほほ〜,あたし,どうしちゃったのかしら〜♪」 という感じで,自分からピョンコピョンコ飛び跳ねている.
まるで子犬である.
これまでは,自分から遊ぶのを止めたり,
盛り上がってきたなと思いきや,急にしらけムードになって,
「止めましょうや,こんなこと...」 と言ってみたりしてたのにね.

遊びが終わって帰ってくれば,やっぱり無邪気にコテンと寝る.
このとき,背中やお尻など身体の一部をこちらにくっつけることが多くなった.
遊ぶときは遊ぶ.
寝るときは寝る.
甘えるときは甘える.
何となく,生活全般に気負いが無くなったような感じである.

きっと,さんとの関係を含めていろいろ考えた末に,
何か彼女なりに出した結論があるんだろうな−−−と思う.
でも,そんなことまでわざわざ気を回すのもバカらしいので,
ただただ,かわいいりんを堪能させてもらっている.

Friday, January 31, 2003

読書感想文2

ついでにもう一つ,ヘリオット先生から紹介させてください. 「ジョック」 というタイトルのお話です.

ジョックはある農家で暮らす痩せっぽちで貧相な牧羊犬.
現役の働き手であり,また優秀なシープドッグ競技犬でもあった.
そんな彼の愉しみは車追いであり,例えばヘリオット先生が農家から帰る時には,いつも決まって物陰に身をひそめ,発車と同時に猛ダッシュするのであった.

やがてジョックとメス犬の間に7頭の子犬が生まれる.親の血なのか教育なのか,この子犬たちが揃いも揃って車を追い始めるのである.先生の車には,大小入り乱れた犬たちが追いすがるようになる.

最初,余裕で先頭を切っていたジョックであったが,子犬たちが成長するにつれ,次第に自分のスピードが脅かされているのを感じる.ある日,足がもつれ子犬たちの疾走に巻き込まれ,あわや大怪我という事態まで起こる.それでも,プライドをかけ必死に先頭を守ろうとするジョック.
彼との駆け引きを楽しんできた先生は,そんな様を心を痛めながら見守る...

とまぁ,だいたいそんな風に話が進んでいくんですが,むしろストーリがどうのこうのというよりは,のどかな農家の情景を描いた,という感じの作品でした.

で,やっぱりこの話もいいなぁ〜と思ってしまうのです.
牧羊犬たちの暮らしていた世界を感じさせてくれます.

  車追いを 「やつの生きがいだな」 と笑ってすませていられる世界.
  嫌いな人間や犬や機械には無理して会わなくてもいい世界.
  家の周りに何気なく犬がうろついている世界.
  犬が仕事の余暇を楽しんでいる世界.
  そして,犬たちを見守るゆったりした温かい視線.

そりゃあ,人にとっても犬にとっても,食べていくためには今よりずっと厳しい環境だったたかもしれません.でも彼らはそんな世界で力を発揮するように作られ,人間の期待に応え続け,誇りを持ち,何世代にも渡って暮らしてきたんでしょう.

そんな彼らを,今の自分たちのものさしだけでアレコレ言うことが,何だかフェアじゃないような気までしてくるのでした.