Thursday, December 21, 2006

じぇちの一分

田舎娘が3回目の誕生日を迎えた.

同じ一つ屋根の下に暮らしながら,できれば一人にしておいて私のことは放っておいてと,居間に集ったメンバーを土間の隅から上目使いで見ていたころが懐かしい.(...って,ついこの前のことだけど)
そんな彼女もようやく,ほんとにようやく,みんなと一緒にくつろげるようになった.

思えば初対面のときから,彼女にはどこか幸薄いイメージがあった.
フォークリフトが走り回る空港の貨物置き場に置かれた犬用ケージ.
その一番奥からこちらを窺う目つきには,子犬らしいオープンな無邪気さはなかった.

もちろん犬それぞれの性格にもよるのだろうが,長い時間を一人ぼっちで輸送されることは,幼犬の心には大きすぎる負担なのかもしれない.
街のマンションからファームののんびりした環境に移ってからも,あまり人に寄りつこうとしない頑なな態度はなかなか変らなかった.(理由はわからないけれど)

今,彼女はソファに腰掛けテレビを見ているHiroさんの横にぺったりとはり付いている.
身体を撫でられながら,穏やかに目を細めてウツラウツラしている.
大進歩だね.
そんなのフツーじゃんと笑われそうですけど,そのフツーのことができるようになるまで,彼女には長い長い時間が必要だったのです.どうか褒めてやってください.

ただHiroさんへの態度は随分と軟化したけど,週毎にしか会わない私に対してはまだぎこちなさが見え隠れする.
もちろん,顔を見れば歓迎してくれるし,足元に倒れこんでヘソ天になったり,撫でてよとばかりに頭を擦りつけてくることだってある.
しかしそれは,見知らぬ客に対しても同じだし,リラックスするというのとはまたちょっと違う.
どこか身体にチカラが入っているというか,ざーとらしいというのか.
「心まで許したわけじゃないんだからね」...ま,どーせそんなところかな.

ひょっとしたら,それが彼女流のケジメなのかもしれない.
ほんとに不器用な娘ですから.
あと何年かすれば,ぐれぐのように屈託なく甘えられるようになるんだろうか?