Monday, May 16, 2005

なめなめ

夜,ソファで寛ぎながら,今日犬と遊んでやったっけな?・・・そういえば忙しくて昼にトイレに出してやったきりのような・・・それでも文句も言わずおとなしくしてんだから偉いよなぁ・・・,なんてとりとめもなく考えてたら,不覚にも青二才と目を合わせてしまった.

てっきり向かいのソファで眠りこけてると思ったのに,こっちの考えてることがわかったんだろうか?
この男に期待を抱かすとロクなことはない.
あわてて視線を逸らせて 「お前のことなんか気にしてない」 という体を装う.

逸らせた視線の先はただの壁.
しょうがないので,しばらく壁の汚れでも見つめてみる.
さすがに自分でもバカバカしくなってきたとき,壁の向こうで不審な音がした.

どこからかネズミでも忍び込んだのだろう,このところ毎日のように天井裏や壁の内側で何かが走り回る音がする.
不思議なことに,小動物と見れば目の色を変えるうちの犬たちが,揃いも揃ってこの音には無関心である.単なる雑音として無視してるのか,それとも少しは気にして聞き耳くらいは立ててるのだろうかと,つい青二才に目をやってしまう.
げっ,しまった,まだこっち見てやがった!

「違うっ! 頼むから勘違いすんな」 と強く念じて再び目を逸らしたが遅かった.
首筋がしゃんと伸び,目が真ん丸になり,尻尾がソファを叩きだす.

「すちゃっ」と爪の音をたててソファから降りた.
愛情を疑わず自信満々の犬が伸びを一つ入れて胴をくねらせながらこっちに来る.
そのままひざに前手をかけ,あごの下に頭をねじ込んでくる.
甘えてるだけなのだが,力が強い上に骨がごついからとても痛い.
あーもうわかったから止めてくれ〜・・・

唐突にやつの動きが止まる・・・,いか〜んっっっ!!
もう見なくてもわかる.
鼻を膨らませ,目を潤ませてこっちを覗き込んでいるに違いない.
勝手に気分を出して情感を昂ぶらせているのだ.

案の定,今度はこちらの肩に両前足をかけ,少し首を傾げて顔を舐めはじめた.
ごつい身体に剛毛の青二才であるが,舌だけは変に滑らかである.
しかも舐め方はソフトで丁寧ときている.
美形ならともかく,強面の犬にこれをやられると妙に気持ち悪い.

薄目を開けるとやつのうっとりした顔が目に入る.
そんなもん見たくもないと,あわてて下に目を逸らすと,今度はちょっと充血してテラテラしたやつの男根が目に入ってしまう.

「ほんとは嬉しいくせに」 なんて思ってる人にはバチがあたるでしょう.
確かに青二才は良いやつで好きなんですが,これは本当に迷惑です.
ああ,神様,一体これは何の罰なんでしょうか?