Wednesday, March 21, 2007

三角関係

彼のために断っておくと,さん=アニキは "良いヤツ" なのです.

人には忠実だし,他犬には威張らないし,身体はごついけれど家の中ではどちらかというと身を縮めるようにして生きている.
見知らぬ客犬にも一番親切だ.
作業のときは誰よりも一生懸命だし,何事にも真面目に取り組むし,力持ちだし,おまけに人のことが大好きで声をかけてもらえるのを心待ちにしている.
変なユーモアまであって,食餌の後にヤケにうるさいと思ったら,クレートの外に飛んだたった一つの飯粒に向かって全身を矢印にして吼えていたりする.

こうやって並べてくと,ほらね,彼って良いヤツでしょ?
でも一緒に暮らしてると,そこはかとなく暑苦しいとゆーか,ときどき存在自体が疎ましくなるとゆーか.
何なんだろーな,これって.
気の毒よなぁとは思いつつも,身体を擦りつけて甘えようとする彼に対しては,つい「あっち行ってろ」と邪険にしてしまう.
すると,ここがまたいかにも彼らしいのだが,教えたわけでもないのにいつのまにかそれをコマンドと解釈していて,器用にもその場からざざざざざっと後ずさりしてみせ,真面目くさった顔で次の指示を待っている.

それがうぜぇっつーんだよてめーは!!
...こほっ...失礼.

一方,じぇち.
こいつははっきり言って悪い
それも "ぐ" のような可愛げのあるヤンチャではなくて,そーだなー,むしろ腹黒いという感じ?
大体,こっちの言うことなんか聞いちゃいないし,牧場内でフリーになると捕まるもんかと逃げ回るし,いけないとわかってるのに目を盗んで(てゆーかほとんど開き直って)ウンチ食いを強行する.
真正面から目を覗き込んでくるりん姉やアニキと違って,横目&上目使いでチラリチラリとこちらの顔色を伺う.
彼女には声を荒げたことすら無いのだから,何か後ろめたいことでもあるのか!と問い詰めたくなる私を誰が非難できましょう.
ただいつもコソコソしてるのかと言えばそーではなく,寝ている人の上を平気でスタスタ歩いていったり,自然体でテーブルの上に飛び乗ったり,はぁぁ?っつーくらい図太いところもある.
彼女には翻弄されっぱなしである.

でも・・・でもさ・・・,じぇちはカワイイのよ.
いくら裏切られても,いくら翻弄されてもね.

普段はなかなか寄って来てくれないから,彼女にはついやさしい声で「いいから,こっちおいでよ」と声をかけてしまう.(さんアニィと対照的やね)
上目使いでやって来る彼女をつかまえて気持ちを込めて撫でる.
でも,せっかく来てもすぐに放免してしまうんだな.
だって「ヤだなー,もういーかなー,用事があるんだけどなー」と顔を背けて微妙に身体を硬くする彼女を見ていると,自分が借金のカタにさらった貧乏娘をいたぶるヒヒ爺みたいに思えてくるから...

そんな彼女ですが,たま~に(ほんとにたまに)ピトッと身体をつけて甘えてくる.
オジサンただもうそれだけで嬉しくて,身体ぐにゃぐにゃの何でも大目に見てやろーじゃねーか星人に変身してしまうのでした.

そこで格言: この世には2種類の犬がいる.得な犬と損な犬である.

P.S.
ところで,そんなじぇちが気を許して一番信頼してるのがさんなのです.
教えてくれ,あんな男のどこがいーんだ!?

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