Wednesday, September 25, 2002

さんという犬(1) −或親馬鹿確信犯乃犬観察記−

愚息のさんはいわゆる出世犬であり,我が家に来たばかりのときは "ちゃん" (もしくはちゃんちゃん), 次いで "こぞー" となり,最近,りん姉をかばったナイトぶりが認められ,めでたく "わかぞー" に昇格した.

実を言うと,彼の性格にはわからないところも多いのだけれど, とにかく物ごとに動じないのは確かだ. 牛,海,車,花火,雷,変な人,知らない場所・・・何に出会っても およそビビるということを知らない.
他の犬に対しても,見ててヒヤヒヤするくらい無防備に顔を近づける. 子犬時代にガツンと叱られたことがあるくせに,それ以降も懲りた様子は無い. わかぞーになった今でも(まだ2歳前.成犬というには程遠い), 身体全体に好奇心をみなぎらせて寄って行く. 相手のウンザリした様子も気にならないらしい.

まったくの無警戒とか鈍感かというと,そうでもない. 新しいものに対しては慎重だし,実によく観察もしている. 遊びや運動には集中するし,こちらの言葉にもよく反応する. ただ,外部の状況に怯えたり惑わされるということがない. 要するに彼は,自分のペースらしきものをちゃんと持っていて,それを頑として崩さないのだ. (こういうのが,世に言うアルファの資質なんじゃないかと思うのであるが)

それから,何と言ってもこれが特徴だと思うのだが, いつも身体全体からユーモラスな雰囲気がにじみ出ている. 犬にほとんど感心の無い友人が遊びに来ても, 帰る頃には決まって 「この犬を見てるとなごむネェ」 となるから, この印象は贔屓目だけでも無さそうである. (ご存知の方も多いが,外観はでかくてゴツゴツだし,顔は怖いし, 動くと騒がしくて落ち着かないヤツなのだが)

どこがどう笑えるかというと,これが言葉ではうまく説明できない.
確かに,耳の形が寝癖みたく毎日変わるし(普通は,左耳だけ折れてる半立ち耳), 鼻の穴が白いし,後ろ足で頭のてっぺんを掻くし,何にでも腰掛けるから妙におっさん臭いし, 見た目もしぐさも十分おかしいのだが,そんなものはすぐに見慣れてしまう. やはり原因はオツムの中にあるようだ.
ただオツムとは言っても,彼の場合,残念ながらボーダーらしい聡明さから来る茶目っ気とか,ユーモア感覚みたいなものではなさそうである. 彼自身はいつもいたって真面目で真剣なのだ.
そして真剣になればなるほど,かしこまればかしこまるほど, 何ともいえないおかしみを振りまいてしまう.
これはもう 「おいしい」 としか言い様が無い犬なのである.

どうしてこんな性格なんだろうかと考えてみた.
そりゃもちろん,第一の原因は両親の性格(遺伝)だろう. 特に彼の男親には,そんな性格を髣髴とさせるところがある. でもそれだけじゃつまらないし,実際,それだけじゃないと思ってる.

続く

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