Sunday, September 06, 2009

天使と悪魔のDNA (2)

さて,頭数が多いとどうなるかというと,必然的に,一頭一頭にかける時間は短くなる.
食餌は同じものを一斉に出すだけだし,トイレはまとめて裏庭に放流して,頃合を見てばーっと回収する.
自主性と協調性を育むためとか,地震の災害訓練を兼ねてとか理由はいろいろだが,基本的には面倒だからだ.

こういうときは一々余計なことを考えず,流れに従ってくれる犬が素敵だ.
例えばきゃす.
彼女は一応,娘の犬ということになっているが,クラブで忙しく思いの他薄情な主人からは何も教えてもらっていない.だから呼びのコマンド一つ知らないのに,周りの犬がだーっと駆け寄ってくると,あわててみんなに付いてきて,そのままだーっとケージになだれ込んでくれる.
たまに,入り口を閉められてから「えっ!?私,ハウスしちゃったの?」てな顔をしてるが,フフフもう遅いのだよ,おバカちゃん.

これと真逆路線を行くのが同胎犬のぺぐ.
他犬と駆けてくるまでは一緒だが,部屋に上がる直前で立ち止まり,そして考える・・・「このままみんなに付いていくと,私の運命はどうなるんだろうか?」
片腹痛い.
あるいは,途中から一人だけコースを逸れ,物置の裏に潜り込んでウツボになる.そうやって時間稼ぎしながら,あわよくば遊びに引きずり込もうという魂胆なのだ.
いつも決まってそうなら,対処の仕方はいくらもあるのだが,これがある日を境に急に態度を改めたりするもんだから,事はそう単純じゃない.


つづく
 

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