Wednesday, January 28, 2009

町内犬地図 (2)

自分を振り返ると,物心ついてから今日まで,大体において犬は好きだったけれど,ピークは小学校3年の頃だったと思う.その頃は,頭の中に「犬地図」があった.その地図には,町内のどの家に犬がいるかだけでなく,どこの犬は人懐っこいとか,どこの犬は冷たいとか,そして大事なポイントとして(その家の人から怒られるか否かを含めて)どこの犬が外から触れるか,といったことが,きめ細かく書き込まれていた.

飼い犬だけじゃなく,野良犬に会える場所にも詳しかった.お宮さんとか原っぱとか壊れかけの空き家とか,当時はそんな「野良犬スポット」が結構あった.
そして,学校に行きたくなくて家でぐずぐずしていると,犬地図のいたるところから知り合いが顔を出し,そいつらが一斉に「○○君,つまんないよぅ」と語りかけてくるのである.おかげで遅れずに家を出ることができた.ただ,あちこちの犬に挨拶しながら歩くので,やっぱり遅刻してしまうのだけれど.

前にも一度書いたことがあるが,外に出かけるときにはいつも,上着の胸ポケットに一握りのだしジャコを入れていた.知り合いへの挨拶だけでなく,警戒心の強い犬や愛想の悪い犬を手なずけるのに使った.たまに自分のおやつになることもあったけど.

たまに,そのジャコが胸ポッケに残ってるのを忘れたまま,服を洗濯に出してしまうときがあった.
知らないでしょう!?...洗濯機の中のジャコの怖ろしさをっ!
たった2,3尾の身とウロコが水流でほぐれ,幾千の断片となって浮遊し,洗濯物に付着するのである.
最初のうち,母は洗濯物に着いたキラキラが何かわからなかったらしい.やがてその正体が判明すると,どちらかというと温厚だった母もさすがにブチ切れた.後始末の大変さくらいはわかったので,申し訳ない気持ちで一杯だった.
ただ,その癖はなかなか直せなくて,中学生になっても同じことを仕出かしたことがあった.そのときはキラキラしたままの制服を渡されただけで,何も文句は言われなかった.
母はきっと,,,情けなかったのだろう.

(3)に続く
 

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